「トラック野郎・天下御免」のロケ地は爆走航海を劇的に語る!!
今回は「トラック野郎・天下御免」(シリーズ第4弾・1976年12月公開)の見どころの場面におけるロケ地について、語っていきます
ただ単にロケ地の場所を知るだけではなく、その場面における臨場感を感じ取りつつも、「トラック野郎・天下御免」から学ぶ何かがあると信じて、紹介させていただきます。
映画「トラック野郎」シリーズと言えば、主人公である大型トラック運転手の星桃次郎(故・菅原文太兄イ)がキンキンキラキラの愛車・一番星で全国津々浦々を相棒のやもめのジョナサン(故・愛川欽也氏)と駆け巡る国民的映画として長年大衆に支持され続けて来ました。
主人公のトラック野郎である桃次郎は、破天荒で激しい気性の持ち主でありながらも、高潔かつ生粋な人格の持ち主で情に厚く、窮地に陥っている誰かに常に救いの手を差し伸べ続けて来ました。
そんな全10作あるトラック野郎シリーズ(1975年~1979年にかけて放映)のロケ地の中でも、第4作目の「天下御免」の最終の爆走シーンが最も私の心に突き刺さったロケ地及び名場面として選び抜いていこうと思います。た
ただし随分時が経っているので、あくまでも確定的な情報ではないことを最初に言っておきます。
それらのロケ地に対する限れらた情報と併せて、ロケ地においての展開についても紹介していきたいと思います。
そんな作品中の場面の中でも、「トラック野郎・天下御免」における、恒例の爆走シーンについてお話しします。
「トラック野郎・天下御免」爆走航海出発のロケ地と、背負った重責
そこで働いていた坂口千津(松原千恵子氏)とその娘桃子を、事故のため京都市の病院にて意識不明の重体になっていた千津の夫・松男(沢竜二氏)のもとまで送り届ける、という仕事を引き受けることになったのです。
次いでに、鳥取県は境港を回って京都中央卸売市場まで、夕方の5時までに正月用の鯛を20トン運ばなければ、松男の信用がなくなってしまう、というものでした。
しかもその正月用の鯛は、境港の市場の関係者である一人のオヤジさんの話によれば、「指定時間を過ぎれば冷凍商品として、価格が20パーセントにまで下落してしまう」ほどだったため、正しく一刻一刻を争うべく状況下でした!!
残された時間は6時間、ためらう千津を桃次郎は説得し、千津の娘の桃子と共に一番星に乗せて、境港まで向かいました。
話は逸れますが、爆走シーンでの荷物は、「天下御免」の前作「望郷一番星」では生魚40トン、次作の「度胸一番星」ではブリ二台分、といった設定になっております。
その倉敷のドライブインという設定でロケが行われた場所ですが、埼玉県は東松山市、という情報が上がっております。
どのトラック野郎シリーズのロケ地もそうですが、ドライブインとなると、関東地方のどこかのドライブインが使用されていて、そのご当地らしき雰囲気が出ている場所が使用された、といっていいでしょう。
今回紹介する「トラック野郎・天下御免」の爆走シーンにおいては、今までのようにスピードメーターを映し出しての爆発的なかの加速場面、並びにパトカー達とのカーチェイス場面は省略されておりますが、この背景には恐らく、警視庁からの苦情があったものだと予想されます。
一番星が境港に向かう場面では田園地帯の県道を走り抜けていく場面がありますが、ここは実際に岡山県内の県道だったという事で、ロケ地的には総社市だと言われております。
中国山地を超え、境港の魚市場で桃次郎が20トンの荷を積み込む場面があるのですが、このロケ地は間違いなく現地であることは判断できます。
私の前職での、ある常連様が鳥取県出身という事で、「トラック野郎・天下御免」のロケ地として境港港が使用されたという証言も聞かされたことがあります。
その後正月用の鯛を積んだ一番星は、国道9号線を道なりに京都方面へ、という設定で、途中で(兵庫県内かとは思うのですが)国道9号線が事故で通行止めになってしまったため、一番星は同じく通行止めになった脇道の崖を進んでいく場面に差し掛かります。
ここで一番星が実際に走ってきた道路は、国道9号ではなかったみたいで、一部の情報によると、実際のロケ地は岡山県・新見市内の国道180号線だったという口コミを観たことがあります。
この脇道で土砂崩れに遭った一番星が崖から這い上がる、壮絶な死闘の場面がありますが、勿論この場面は特撮です。
その局面を乗り切った一番星が雪が大降りになって来た山村地帯を突き進んで行き、途中で千津が桃次郎と変わって運転する(千津も元トラック野郎でした)場面がありますが、ここの実際のロケ地もまた、岡山県内だった、との情報があります。
「トラック野郎・天下御免」ロケ地の終点・京の都へと一直線に!!
そして再び国道9号線に戻り、そのまま京都方面へ、という事になるのですが、やっと作品中の設定に見合うべくロケ地が出てきました。
京都府は亀岡市の、「京都20km、大津32km」という標識が出てきましたが、このロケ地はどう見ても国道9号線であることは、まず間違いありません。
さあ、いよいよ京都市内は京阪国道口を右折して東寺の五重塔を通過し、天下御免のクライマックスの締めくくりとなる走行場面へ!!
夕暮れ時、平安神宮の大鳥居をくぐって、煌びやかな電飾と共に一番星は参道を爆走、平安神宮前を右折して無事指定時間内に京都中央卸売市場まで荷を送り届けられました。
この京都市内に入ってからの場面のロケ地も実際に京都市内であったことは、紛れなく事実であります。
松男の入院先で千津と桃子の親子3人の再会を見届けた桃次郎とジョナサンは、いつの間にかその場を去っていました。
千津は二人に礼を言おうと後を駆けつけましたが、雪道にタイヤの跡だけが残されていました。
桃次郎に出会い、一番星号の運転席で生まれ変わったと千津は悟り、坂口家は心機一転の再出発地点に立ったのです。
かくして、桃次郎が正しく捨て身で天下御免のトラック野郎としての一世一代の役を成し遂げた、トラック野郎シリーズ第4弾・「天下御免」の物語は幕を下ろしました。
以上が「トラック野郎・天下御免」のクライマックスのシーンとなるのですが、ただ観るだけでなく、ロケ地に対する情報がわずかであっても、例えばこの爆走シーンと共に地図を辿っていくだけでも、私なりに実演者の当時の心意気が伝わってくる事を感じ取れるものでもあります。
「トラック野郎・天下御免」のロケ地回想で、ブレイクポイントに!!
まさにこの「トラック野郎・天下御免」のクライマックスこそが、突き刺さる感覚というか、こみ上げずにはいられないような感覚として、視聴者の皆さんに学んでいただければ、私としてはこれほどまでにありがたいことはありません。
クライマックスで再会を迎えるまでの、坂口家を取り巻く環境としては、波乱万丈だったようです。
松男が重大なトラブルを起こしたからか、桃子を身ごもっていた千津とは
離婚していました。
そんな千津がある日、桃次郎のコリーダこと須田勘太(故・杉浦直樹氏)とのワッパ勝負の最中に一番星とあわや追突しかけ、その時に一番星の車中で産れたのが桃子でした。
一方の松男ですが、偶然ジョナサンが仕事中に出会い、千津の夫であることが判明したのです。
松男は千津がドライブイン・かざぐるまで働いているという事実は知っていたにもかかわらず、どうやら合わせる顔がなかったみたいです。
それでも何とか千津との関係を取り戻そうとして、松男は地道に働き続け、そしてある時に正月用の鯛の輸送の仕事が松男に当たってきた、という流れになっております。
それまで凄絶な試練に遭遇し続けてきた坂口家でしたが、失われた信頼を回復しようと、松男は最終場面において改めて、厳しい現実と真摯に向き合い続けて来ました。
しかしその大きな仕事が当たってきた最中に、またまた松男は事故で重傷という、局面に差し掛かったのです。
それがジョナサンと巡り合えたおかげで桃次郎に窮地から救い出され、坂口家3人は幸運にも修復される型となったのです。
ある意味、「天下御免」の最終場面においては、千津が桃次郎に嘆願して一番星号のハンドルを握るシーンがあるということからも、最大の主人公は桃次郎よりもむしろ坂口家だった、と言うのが相応しいのかも知れません。
勿論、今回紹介した「トラック野郎・天下御免」の作品中の見どころとしてはまだまだたくさんありますが、今回に限っては、たまたま私の独断と偏見により、最も突き刺さった場面として、このクライマックスの爆走シーンを第一位として語らざるを得なかったのです。
あいにく桃次郎及びジョナサンを演じた菅原文太兄イ、愛川欽也氏共に星となってしまいましたが、我々に現代人の生き様のお手本を示してくれたカリスマとして、どこかで見守ってくれていることでしょう。
トラック野郎シリーズの主題歌の「一番星ブルース」のように。
私がここで学んだこととして最も言いたいのは、何かにぶつかって、たとえ残された時間が少ない等の切羽詰まった状況になっても、諦めずにその場を貫き通す。
こういう姿勢があってこそ、どこかでブレイクポイントというに相応しい、大きな勝機とも巡り合えると信じてもらいたいです。
言い換えるなら、桃次郎のような先導者的存在とは、あくまでも生まれ変わろう、本来あるべき自分自身を取り戻そう、との揺ぎ無き姿勢の持主に対してのみ、誰しもに分け隔てなく救いの手を差し伸べてくれるものでもあります。
私達もまた、この先何か戸惑い、そして途方に暮れた場面に遭遇しても、今回お話しした「トラック野郎・天下御免」における、桃次郎の生き様と併せて爆走のロケ地を回想しつつ、常に己自身との闘いを放棄せずに進んでいくべきです。
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