映画「トラック野郎・望郷一番星」での、唯一無二のライバル出演者
映画「トラック野郎」における、桃次郎の盟友的なライバル出演者
今回は映画「トラック野郎」シリーズの中でも、桃次郎に対して、ライバル的存在の大きさを教えた、と言うより、「ライバルとしてだけでなく、むしろ盟友的であった」とも言える出演者を紹介していきます。
映画トラック野郎シリーズの第3作目「望郷一番星」にて広大なる北海道を舞台にし、豪快な出演者ぶりを見せつけてくれたライバルのトラック野郎、カムチャッカこと大熊田太郎次郎左衛門で、演じ手はかの梅宮辰夫氏でした。
梅宮氏といえば、主人公の桃次郎役の菅原文太氏とは、度々共演を重ね続けて来て、菅原文太氏の生前の交流関係も深く、お互いが信頼し合える仲であったみたいです。
映画「トラック野郎・望郷一番星」で見せた、お手本としての出演者
それ故に、この映画「トラック野郎・望郷一番星」における、桃次郎にとってのライバル出演者としての役どころは、言うまでもなく、同じ映画「トラック野郎」の出演者としても半端なく愛情のこもったものと言っても言い過ぎではないです。
というより、このカムチャッカなる出演者は、同じトラック野郎としてだけでなく、むしろ桃次郎にとっては生きるための知恵袋のお手本であったかのような場面も現れております。
カムチャッカなる出演者が最初出てきた時の私の第一印象としても、失礼ではありますが、チンピラ、無法者以外の何物でもありませんでした。
桃次郎に初対面で突っかかっていった、あの時の表情たるもの、さすがは主人公役の菅原文太氏とも任侠映画なんかで共演したこともあるだけあってか、他のトラック野郎シリーズの中のどの出演者たちも真似できない、凄味のある圧迫感でした。
何せこのカムチャッカの愛車そのものが一番星よりも一回り以上大きいトレーラーのアルミバンで、荷台のペイントはオホーツク海を舞台にして、巨大なシロクマが描かれておりました。
そんな手強いライバル出演者が、桃次郎との初対面において展開されたバトルの続きとして、40トンの荷を両者で二分して、釧路から札幌まで何と6時間で送り届けるという、ワッパ勝負が始まりました。
一番星との熾烈なるデッドヒートの末、一見一番星が優位に立ったと見受けられるも、さすがはこのカムチャッカなる出演者は切れ者だけあって、脇道を利用して一番星とのワッパ勝負に勝利したのです。
逆にこの出演者は、主人公であるはずの桃次郎に対して、「一流のトラック野郎とは、日本全国の脇道を1つ残らず叩きこんでおくものだ」と、そのワッパ勝負の際に教えたのです。
このカムチャッカなるライバル出演者は、決してただの無法者ではなく、あくまで桃次郎が今までぶつかり合ってきた出演者たちの中でも、独特の切れ者であったのかも知れません。
また、このライバル出演者は、桃次郎との港での乱闘の末に、以前より惚れていたはまなすお京(土田早苗氏)とは両想いの関係になれたのです。
映画「トラック野郎・望郷一番星」もいよいよ爆走航海へと突入!!
そしてついにカムチャッカは映画「トラック野郎・望郷一番星」のクライマックスにおける、桃次郎の爆走シーンを誠心誠意込めて支援することになったのです。
以前もこの映画「トラック野郎・望郷一番星」のラストの爆走シーンについて話したことがあり、「またその話かよ」と言いたくなるかも知れませんが、その一番星が40トンの生魚を積んで、釧路から札幌まで5時間以内に届けるシーンにおいては、実はカムチャッカが引き受けるつもりでいました。
それが桃次郎に不意を突かれて、この出演者による爆走シーンは実現出来なかったものの、さすがは梅宮氏と文太氏の両出演者による、映画「トラック野郎・望郷一番星」におけるクライマックスの盛り上げ方は、信頼関係というものを、理屈ではなく、あくまで実録により教えたのです。
そのライバル出演者としての、カムチャッカのハイライトとなる場面とは、桃次郎に無線で道をこまめに案内したり、タイヤのバーストを防ぐために一番星号のタイヤ交換を、札幌までの航海途中でのトラック野郎仲間達の拠点へ電話連絡したりと、惜しむことなく尽くしていました。
しかし、一瞬たりとも時間を無駄にできないと、桃次郎はトイレに行く時間も惜しんでそのまま飛ばし続けました。
そこでカムチャッカがひらめいたのです、道路に水を撒いてタイヤを冷やし、一番星号のバーストを防ごうと。
トラック野郎仲間たちによるホースや川水からのバケツリレー、果ては一番星号がルートとして通るべく国道を、ダンプカーの並走により水浸しにしていく、という行為にまで及びました。
その甲斐があって、一番星は無事に時間内に札幌の市場まで、荷を送り届けられたのですが、やはり以上のクライマックスの場面だけでも、このカムチャッカなる出演者は、ただ単なる桃次郎のライバル、といった存在だけではありません。
あの頭の切れ方からしても、このカムチャッカなる出演者は、もはやお手本的な出演者としての大役を果たしたなと言うのが、私なりの偽りなき感覚であります。
映画「トラック野郎」シリーズに学ぶ、ライバルを超えた信頼関係
今回紹介した、映画「トラック野郎・望郷一番星」におけるライバル出演者こそが、今後次々と桃次郎を待ち受けていくライバル達だけでなく、様々な局面を乗り越えていくための、決定的な踏み台になってくれたな、という感覚でもあります。
勿論どの映画・トラック野郎シリーズにおいても、すべてのライバルたちは、桃次郎の出世のためには欠かせない存在でありました。
しかし、このカムチャッカなる出演者は、ただ映画・トラック野郎シリーズの主人公としての桃次郎だけでなくまた、文太兄いにとっても、役者としての出世のために大役を果してくれた、とも私は信じております。
どんな世界においてもそうですが、いくら対立しぶつかり合うような相手が現れたとしても、それはもしかすると、今回お話ししたカムチャッカのように、自分自身にとって何か有益になる知恵を与えてくれるような、二人といない存在になりえるかも知れないのです。
それこそライバルだとか、同じトラック野郎だとか言う枠を遥かに超えた視点に立ってこそ、今回紹介したカムチャッカだけでなく、全10作において出演し続けてきた、いわゆるライバルとしてのみならず、全ての出演者達の本質的な役割というものが段々と見えてくるものではないか、とも考えられます。
この視点を常にどこかに持ち続け、日常においていかにも厄介な相手が現れた時なんかには、このカムチャツカのような、桃次郎にとってお手本となるべく知恵を与えてくれた、二人といない盟友のことも思い出してもらえば何よりと思います。
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