高倉健氏主演の映画「新幹線大爆破」に見た、現代の闇
高倉健氏主演による、歴史に残るパニック映画「新幹線大爆破」
この度は、今はなき国民的俳優・高倉健氏が映画「新幹線大爆破」(1975年7月公開)で見せた、それまでの高倉健氏出演の名作達とはまたまた違った特色を持った、海外でも高い評価を得た歴史的名作について、お話していきたいと思います。
まずはこのタイトルからして、今から見ても何ともショッキングなことこの上ない、映画「新幹線大爆破」ですが、何はともあれ先にこの映画の誕生をめぐるいきさつをざっとお話しします。
高倉健氏がこの新幹線大爆破の計画を企てる主人公・沖田哲夫役を演じました。
沖田の役どころとしては、中小企業の経営に失敗したことがきっかけで、社会的に何か大規模な反逆行為を企てていくというものでした。
そのために沖田自身が選択したのが、「新幹線大爆破」であって、沖田の共謀者役としては、かつての学生運動で人生を狂わせた若者・古賀勝(山本圭氏)に、沖縄出身の工員・大城浩(織田あきら氏)がいました。
「新幹線大爆破」の手口としては、東京駅を出発したひかり109号に「時速80キロ以下」で爆発する爆弾を仕掛け、巨額の身代金を目的とするものでした。
高倉健氏主演の主人公はじめとした他の二人の共犯者の若者たち三名と、国鉄(当時)及び警察当局との、生死を賭けた闘いが、乗員乗客たちのパニックと併せて、スリリングに描かれています。
この映画「新幹線大爆破」なるもの、作品が未だかつてなかったほどの文字通りパニック映画以外の何物でもなかっただけに、キャスティングとしても高倉健氏のみならず、東映関連の俳優から数々の名が上がりました。
当時の東映映画を支えていた巨頭俳優たちと言えば、例えば今回紹介お話しする高倉健氏を始めとして、菅原文太氏・梅宮辰夫氏・千葉真一氏などといった顔ぶれでした。
まずは今回の話題の中心である高倉健氏といえば、「網走番外地」に代表されるべく任侠映画の大黒柱的存在でした。
そんな高倉健氏の他にも、主演としては、同1975年に映画「トラック野郎・御意見無用」で新境地を実現した一番星桃次郎役の菅原文太兄いとは盟友的存在であった梅宮辰夫氏に千葉真一氏、といった名が挙がっておりました。
しかし、結果的には高倉健氏と映画「新幹線大爆破」で共演することに決定したのは、千葉真一氏でした。
千葉氏といえば、当時すでに格闘物のアクション映画にて名を馳せていたわけですが、意外なことにも映画「新幹線大爆破」で、ひかり109号の青木運転士を演じることとなりました。
確かに高倉健氏と同様に、この映画「新幹線大爆破」においては、今までとは大きく異なるべく路線変更の役柄ではありましたが、いざ視聴してみると、命懸けで責務を果たすその場面が、何とも千葉氏には相応しかったように感じております。
映画「新幹線大爆破」の主人公を演じた高倉健氏の口からも、「この映画の見どころとは、あくまで俳優達というよりも、むしろストーリー自体に魅力がある」という発言が出ていました。
そんな前代未聞のパニック映画のストーリーそのものと相まって、高倉健氏としても、この映画「新幹線大爆破」を皮切りに、後々の出演映画のジャンルの幅をさらに広げていく展開になったのです。
高倉健氏と映画「新幹線大爆破」が、共に本格的な海外進出へ
高倉健氏主演のパニック映画「新幹線大爆破」は、実は海外での人気が、国内よりもはるかに高かった、とも言い伝えられております。
まあ、我が国の新幹線そのものの当時の評判が世界的に高かった、というのもあるかも知れません。
しかしそれ以前に、やはり映画製作者と出演者にスタッフたちが共にこのパニック映画のための大英断に踏み入った、という事自体もまた世界的に好評を得た、大きな理由であったのかも知れません。
結果的にはこの映画「新幹線大爆破」が、公開よりわずか数か月で海外数か国から受注が入り、15億ドル以上の輸出契約が結ばれたようです。
それが更にこの輸出開始から2年もしないうちに、全世界120ヵ国で公開された、というくらいですから、言うまでもなく東映としても飛躍的な発展を成し遂げたというに相応しいものです。
先ほども言いましたが、この映画が公開された1975年という時期は、映画・トラック野郎シリーズ第一弾「御意見無用」が公開された年でもあります。
映画「新幹線大爆破」の売り上げ実績そのものとしては、この映画・トラック野郎シリーズには幾ばくか及ばなかったようではあります。
しかしそういう事は度外視として、それまでの日本映画にはあり得なかったような、まさしく国際的な映画にも共通するものがあったため、今振り返ってみても、海外にも通用することはむしろ必然と言って、的外れではないはずです。
高倉健氏と共に、映画「新幹線大爆破」が、現代に訴えるもの
映画「新幹線大爆破」が、主演の高倉健氏による、心の闇の深さを全面に押し出した犯人役の演技と共に、当時の世知辛い社会事情も分かりやすく映し出しているな、と私は解いております。
まず当時の経済情勢としては、オイルショック後の経済後退のあおりを受けて、大衆は厳しい生活を余儀なくされている、といった感じでした。
そんな社会情勢とは対照的に、高度経済成長期の象徴の一つとなった新幹線を題材にした映画作品であることもまた、是非とも着目すべきところです。
一方では、この映画「新幹線大爆破」なる作品が、決定的なテロ対策を始めとした、危機対策のためのお手本となる映画であることも、見逃せません。
よってただ単に、当時の厳しい社会情勢と、それに伴う一般市民の現実社会に対する苛立ちみたいなものを描いた映画作品ではなかったと私は思っております。
高倉健氏が演じた、自身の経営する会社が倒産し、追い詰められた主人公の人物像と、過激極まりないパニックなストーリーの場面を通じて、その裏には、いかに厳しい局面に追いやられても、常に自らを見失うことなく一つ一つ乗り越えて行く、といった感じの、現在の我々に対する演出意図も込められているものだと考えられます。
確かにこの映画が公開された1975年当時としても、その過激極まりない作風自体が、民衆達を犯罪に駆り立てる要因になるのでは、といった猛烈な批判も受けていたようです。
当時の国鉄側からも、この映画の公開によって、「新幹線の安全神話を汚す、社会に悪影響を及ぼす作品である」として、東映に抗議文を送りつけたりするほど、製作側としても過酷な現実に度々直面してきました。
にも拘わらず、この映画「新幹線大爆破」なるパニック映画が、全世界的に見ても高い評価を得てきたことは、素直に称えるべきことですし、間違っても民衆の犯罪志向を駆り立てるべきものではない、という事を私は言いたいです。
新幹線の乗客という視点からしても、いかなる絶体絶命なるパニックに陥ろうが、決して我を失わず屈せずしてその修羅場を乗り切る、という風な先人達による教本と言えます。
よって今回お話しした映画「新幹線大爆破」からは、むしろ今日のような常に情け容赦なきまでの千変万化を繰り返している環境においても、何物にも振り回されず、自らを見失うことなく、揺ぎ無き姿勢を貫くことを忘れずに進んでいくことを学び取ってもらえれば何よりです。
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