「トラック野郎・天下御免」の巡礼で、歴史的物語を価値高きものに
「トラック野郎」第4弾の巡礼でさらに大きくなった桃次郎
前回に引き続き、映画「トラック野郎」の話題を正しく実りの秋に向けて展開していきたいところであります。
で、今回は「トラック野郎」シリーズの中でも、まさに今この世知辛く、過酷さを極めた駆け抜けるようにして過ごすに相応しいものとして、私自身から第4作目である「天下御免」における巡礼の物語をお届けして行こうと思います。
実はこの「トラック野郎・天下御免」については、以前にもお話ししたことはあるのですが、今回はその最高傑作における巡礼とは言い換えればまさに桃次郎にとっては、それまで以上に他人の苦悩と向き合う場面が前面的に押し出されていた、そんな感覚でもあります。
元々この「天下御免」に於ける巡礼はと言えば、「トラック野郎」愛好家達としては、本作のマドンナ役である我妻和歌子役を演じた由美かおる氏の四国巡礼の姿が第一に来るものですが、実はゆくゆく和歌子としても桃次郎に苦難から救い上げられるという運命に巡り合うのです。
ライバルとして桃次郎と痛快にぶつかり合ったコリーダこと須田勘太(故・杉浦直樹氏)が桃次郎の賭けた宇和島の闘牛で勝利、和歌子の実家がみかん山運営で背負った300万円の借金の清算という、いかにも我が身を斬るような義の生き様のお手本としての一大場面でした。
桃次郎が巡礼の旅にて救い出したのは、この和歌子の借金だけではありませんでした。
実は少なくとも終盤においては、「トラック野郎・天下御免」における第二の主人公と呼ぶにふさわしかった、そんな人物も登場したのです。
一番星号の中で桃子を産み、以来倉敷のドライブイン・かざぐるまでウェイトレスを務めてきた坂口千津もまた、本作においては究極の試練を辿ってきた存在でした。
もともと夫の坂口松男と共に熊本にて運送会社を運営していて、千津も大型トラックを運転していた、と言っております。
その時に雇った運転手が死亡事故を起こし、莫大な賠償金を背負う羽目になってからというもの、借金は雪だるま上に膨らむは夫はギャンブルに手を出すわで、百々のつまりは夫が離婚届を出して蒸発してしまった、というのが千津の証言でした。
また一方のジョナサンとしては、いつもの4トンの愛車ではなく、緑ナンバーの大型運転手を務めておりました。
そのさなか、タイヤがバーストした時に松男に助けられ、以来ジョナサンは松男の正体が千津の夫とは知らずに同じトラック野郎仲間として生活を共にしていました。
桃次郎だけでなく、「トラック野郎・天下御免」においてはジョナサンとしてもまた、生き別れになった千津と松男を決定的な運命に導くべく、航海を通じて巡礼の旅路を辿っていたのです。
「トラック野郎」での京都への巡礼の旅でラストスパートを!!
こうして桃次郎・ジョナサン共にそれぞれが互いの巡礼の旅を通じ、トラック野郎としてだけでなく、あくまで人のあるべき姿として一回りも二回りも大きくなった、そんなシリーズ第4弾でした。
「トラック野郎・天下御免」における終盤の爆走のクライマックスについては、既に以下の型で本ブログにて投稿済みであり、お陰様で本ブログの記事中最も高い人気も維持出来ております。👇
https://karisumabeya.site/2019/04/02/
まさにこの「トラック野郎・天下御免」の巡礼の旅のクライマックスこそもまた、歴史的最高傑作と呼ぶに相応しいが故に今回も繰り返しアンコール、という型で投稿するに至ったというのが、偽りなきところであります。
即ちそんな心得をもとに、この場面がいかに我々にとっての教本となるべきか、改めて復習したいところであります。
ジョナサンが坂口松男が千津と分かれた夫であることを知ってからというもの、まさに坂口家が地の底から救い出される、言ってしまえばそんな風でした。
一度は見捨てた妻子に心底から謝罪し、償いをしていこうとする松男に親身になって報いたのがジョナサンでした。
倉敷にいた桃次郎に、航海の途中で重傷を負った松男に代わってその代役を頼んだのです。
倉敷から境港で正月用の鯛を20トン積み、あと6時間以内に京都中央卸売市場まで送り届けるという、一世一代の巡礼の旅のクライマックスがそこに展開されたのです!!
一番星号のフロントグリルには「恋の巡礼」なる「トラック野郎・天下御免」の名場面を決定的なものとすべくセリフが刻まれ、その京都を目指しての巡礼の旅のラストスパート、これこそが息の詰まる場面以外の何ものでもなかったのです!!
この巡礼の旅の途中では、断崖絶壁から一番星号が這い上がるという究極の試練をも乗り越え、まさに千津としても一番星号で生を受けた娘の桃子と共に、松男の為に生まれ変わった、生涯の一代決意の場面でもありました!!
より一層大きくなった桃次郎・ジョナサンに対し、心機一転生涯における使命を守り抜くという、揺ぎ無き誓いを果たした坂口家でしたが、ここにもまた世知辛い現実社会をも生き抜いていくための、最大のお手本が示されているものです。
理屈抜きにして、心底から生まれ変わるとはいかなることなのか。
どんなに過酷な状況下にあっても、諦めたら全てが終わりである。
このような課題を、桃次郎やジョナサンからだけでなく、壮絶ともいえる巡礼の旅を生き抜いて来た坂口家からも投げかけられているといっても、言い過ぎではありません。
一方、少し現実に目を向ければ、民衆は少なからず日々ストレスに追われる一方で、中には大切な我が子を虐待したり、その重いストレスに耐えきれずに無法な行為に走ってしまい、自らを身の破滅に追いやってしまう。
そんな実例は枚挙にいとまがありませんが、映画「トラック野郎・天下御免」を以下よりご視聴いただき、本作における巡礼の旅を現実社会を生き抜くためのお手本として今後に活用していただければ、これほどまでにありがたいことはございません。👇
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