トラック野郎はコリーダによる、漢の真価を試す非情なライバル性
「トラック野郎」にコリーダこと須田勘太という、宇和島で闘牛使いをしていたライバルが登場したのは、「トラック野郎」第4弾「天下御免」(1976年12月公開)においてでした。
コリーダとは即ち「トラック野郎」史上の中でもヤバいまでの非情さ、ズル賢さを持ち合わせ、一番星のトラック野郎仲間達に恐れられた、地域ではこのライバルを知らない者はいないほどでした。
コリーダのそんな非情な手口たるもの、地域のトラック野郎達に容赦なくワッパ勝負を仕掛けては戦利品としてメイン行灯を没収していく、という風な感じでした。
まずはコリーダの愛車については黒を基調として荷台の箱には奴のシンボルである闘牛がダイナミックに描かれ、ショートデッキには牛の角を模ったオブジェに巨大なしめ縄まで巻き付けていたのです。
これはもはや日本のトラック野郎のイメージを大きく覆すべく、コリーダとは即ち血沸き肉躍る闘牛士のラテンの熱き血が騒ぐ、みたいなキャラでもあったのです。
荷台のサイドバンパーには奴に敗北したトラック野郎達のメイン行灯がびっしりと隙間なく陳列され、初登場からして道行く一般車を圧迫するような走りっぷりでした。
またコリーダ自身の風貌としても180cmを確実に超えていたほどで、従来のトラック野郎にありがちなパンチパーマに角刈り、みたいなコテコテのイメージとは大きく差別化していました。
ファッション的にはカウボーイ調の帽子に上下ともまさにスペインの闘牛士まんまで、一見上品なイメージを持ち合わせながらもどこかただものらしからぬオーラを全開。
以上のようなイメージのコリーダとしてもまた、一番星との闘いでどのような非情さを発揮していたのか。
みたいな辺りに焦点を当てつつ、奴のライバル性を情熱的に説いていくとします。
「トラック野郎」はコリーダによる一番星との非情なる死闘のこの場面
トラック野郎達に恐れられてきたコリーダもある日遂に一番星との対決を現実のものとする、そんな決定的場面が訪れました。
コリーダは一番星と初対面にてあくまで穏便ながらも冷徹な姿勢で宣戦布告、これにて倉敷はドライブインかざぐるまを出発しての往復50キロの死闘が展開されました。
コリーダ丸は流石この存在感だけでも非情そのものでした。
一番星のド派手な電飾とは対照的にコリーダ丸は漆黒の闇を突進する闘牛の如き、熱き血の騒ぐ走りで一番星を圧倒するもやがて両者は互角のデッド―ヒートを展開。
とその時思わぬアクシデントに遭遇したのですが何と、身重で出産を直前の坂口千津という女性が飛び出してきた事で一番星があわや!! の瞬間で急停止。
幸い千津は無事だったものの予期せぬ出来事により一番星は不本意にもコリ―ダに勝利を譲る結果になりました。
一番星もこれにて他のトラック野郎の二の舞となってしまい、コリーダにメイン行灯を渡すという、最強のトラック野郎としてはこの上なき屈辱感を味わうことに。
そしてコリーダとの再勝負はまた同じかざぐるまを出発点として、11月15日に行われることとなりました。
「トラック野郎」でコリーダが一番星により非情で狡猾な戦法に!?
コリーダはあくまでトラック野郎としてのライバル、という枠を遥かに超えた正真正銘な闘いのプロと称すべきでした。
前述の再勝負の日、一番星がかざぐるまに到着した際にコリーダの姿は無かったのですが、何と奴は知り合いでもあったマドンナの和歌子を乗せて松山に向かっていったのでした。
そんなコリーダによる一見汚いやり方に怒り心頭した一番星は真っ先に松山へと一直線、ここでトラック野郎達が大勢見守る中で両者による拳での格闘が開始。
やがてコリーダは一番星による君子を決して恐れず、諦めない愚直な闘いに突き動かされてメイン行灯を返却、これで両者は和解を果たしたのでした。
この闘いの結末とはコリーダの妹で女トラック野郎でもあった姫だるまこと須田雅美に生コンを浴びせかけられたことによるものでした。
⇒姫だるまと一番星とのガチンコ対決はこちら
そんなコリーダのようなただ非情なだけでなく、一見邪道ともとれるようなずる賢い手を使うライバルが現れたこともまた、「トラック野郎」においては素通りできない学びの一場面だったのです。
コリーダと和解を交わした一番星はやがてマドンナの和歌子の実家に数百万円の借金があるのを教えられたことで、コリーダの闘牛・勘太山に賭けてみることにしました。
こうしてマドンナを救出すべく運命の勝負の日を迎え、一番星とそのトラック野郎仲間達は一丸となってコリーダと共に闘い抜きました。
運命の女神はコリーダの闘牛に微笑み、これにて元々コリーダの知り合いでもあった和歌子を借金苦より救出することが出来たのです。
以上をまとめるならコリーダとは元々地域のトラック野郎達からは「君子危うきに近寄らず」とばかりに恐れられ、時には汚い手を使ったりもしました。
そんな奴が一番星とガチでぶつかり合ったことで互いに認め合い、もはやトラック野郎としてのライバルというより、トラック野郎仲間達が頭の上がらない、本物の闘いのプロとして称えられる存在となり得たのでした。
「トラック野郎」でコリーダが非情に徹したことで漢達に教えた真実
「トラック野郎」とは即ち本物の闘いとは何か? を課題としてきたのが、このコリーダを始めとする歴代ライバル達でした。
中でもコリーダこそが独自の非情キャラで時にはずる賢さで一番星を欺いたりしましたが、これもあくまでガチンコ勝負における漢としての真価を呼び覚ますことで試す、みたいな戦略であったと言えます。
ハンパなく非情に徹することで決して小手先だけのテクニックではない、長年眠らせ続けてきた闘志が次第によみがえってくる。
そんな燃え滾るような情熱こそがいかなるテクニックをも超越し、どんな裏切りも通用しない筋金入りの生き方に繋がっていくものなのです。
こここそがまさにコリーダが一番星はじめとしたトラック野郎達に教えたかった真実であり、その生き方が愛車にもファッションにも、そして一番星との死闘に、全てにおいて決定的に演出されていたのです。
「トラック野郎」でのコリーダによる非情な戦略は、下記よりご視聴いただけます👇
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