「トラック野郎・御意見無用」で、出演者一丸となった幕開け
今回は「トラック野郎・御意見無用」(1975年8月公開)に関して熱く語らせていただこうと思います。
正しくこの最高傑作こそが大衆娯楽文化の当時の新たなる幕開けとして、特色の強い出演者たちが、桃次郎始め一丸となって当時の最前線を斬新な型にて牽引していくきっかけ作りになったと感じさせられます
それ以前に、この「御意見無用」なるセリフこそもまた、トラック野郎・一番星号の定番の合言葉として、フロントの行灯(あんどん)に掲げられていくことになります。
そんなトラック野郎・一番星桃次郎を支えた、トラック野郎シリーズの映画における出演者たちの役割を、まずは幕開けとなったこの第一弾「御意見無用」の中から紹介していきます。
「トラック野郎・御意見無用」以来の主人公は、この2名です
何はともあれ、まずは主人公役の桃次郎を紹介しなきゃ始まらないですね。
本名は星 桃次郎といい、出演は言わずと知れた故・菅原文太兄いです。
愛車は11トンの大型トラック「一番星号」で、派手な電飾と色彩画を荷台に施し、相棒であるジョナサンと共に全国津々浦々を駆け巡りながら、喜怒哀楽に満ちた人間模様を展開していきます。
気性が激しく頭にくるとすぐに手が出てしまうほどの荒くれものですが、曲がったことが一切許せず根は硬派です。
その一方で女性に対しては口下手、不器用で恋は成就せずに終わってしまいがちですが、苦しんでいる者に対しては、時として我が身を投げ出してまで手助けするほどの、実直で生粋な生き様のお手本でもあります。
併せてまた、また桃次郎の相棒としての10作までの出演者は、やもめのジョナサンこと松下金造で、故・愛川欽也氏が演じておりました。
妻の君江(春川ますみ氏)と7人(「御意見無用」当時の子供の数は、のちに9人となります)の子供たちと、川崎のアパートに住んでいました。
主人公の桃次郎とは対照的に温厚な性質でしたが、元は東北で「花巻の鬼代官」との異名を轟かせていたものの、パトカーの飲酒運転で懲戒免職となり、トラック野郎に転身しました。
愛車のジョナサン号ですが、4トン半の中型トラックで、荷台に大きく描かれた一万円札(当時は聖徳太子)がトレードマークでした。
時には桃次郎と激しくぶつかり合うも、苦楽を共にした素晴らしき相棒でした。
「トラック野郎・御意見無用」を盛り上げた、これらの2役
次に紹介していくのは、桃次郎のライバルに当たるトラック野郎、そして桃次郎の恋の憧れとなったマドンナとしての出演者についてです。
この2つの存在については、後々10作に至るまで、桃次郎を支えた重役として欠かせない存在としての出演者でありました。
まずライバルとしての出演者は、この「御意見無用」では、関門のドラゴンとしてトラック野郎達から恐れられていた竜崎勝(故・佐藤充氏)でした。
トラック野郎仲間たちにとってもライバルとして、常になんらかの型で桃次郎とワッパ勝負(レース)を展開する型となります。
併せてこのライバル役とのもう一つの欠かせない見どころとしては、殴り合いの格闘シーンです。
場所ですが「御意見無用」においては、ドライブインという設定になっております。
こんなライバルとの激しいぶつかり合いがトラック野郎シリーズにおいて展開されたその末、桃次郎との揺ぎ無き信頼関係も構築されてきました。
次は桃次郎の憧れ的存在のマドンナとしての出演者ですが、この「御意見無用」の舞台となった東北は盛岡のドライブインで働いていたウェイトレス、倉加野 洋子(中島ゆたか氏)でした。
桃次郎は洋子に恋心を抱き続け、最終場面に差し掛かるあたりでは告白しようとするも、思いもよらぬ展開が待ち受けていたのです。
このマドンナとしての出演者も、トラック野郎シリーズにおいては、桃次郎の成長のためには欠かせないものでありました。
マドンナと両思いになったのは、第5作「度胸一番星」くらいで、後は桃次郎がフラれるオチになっていました。
私の視点からすると、桃次郎のトラック野郎のライバルと、憧れのマドンナのいづれの出演者も、桃次郎がただ単にトラック野郎としてだけではなく、一世一代の主人公としての業を成し遂げるためには不可欠な存在であった、という事です。
こうしてこの「御意見無用」にて、今後のトラック野郎シリーズのストーリーの原型が確立されました。
その他の出演者についても、例えば関門のドラゴンの妹であったモナリザのお京(夏順子氏)に歌麿会のトラック野郎・宮崎靖男氏、そして桃次郎と路上で乱闘になったトラック野郎役の故・安岡力也氏など、見逃せない面子ぞろいです。
今回紹介している第一弾「御意見無用」のみならず、少なくともトラック野郎シリーズでは、あくまですべての出演者が主人公として成り立ってきた、と言っても言い過ぎではないはずです。
「トラック野郎・御意見無用」の爆走シーンで一世一代の大役を
今回もまたまたこのトラック野郎シリーズのクライマックスの爆走シーンなくして話は終われません。
「御意見無用」においては、洋子を婚約者である松岡明(故・夏夕介氏)の元まで送り届ける、という設定になっております。
このマドンナの婚約者の出演もまた、作品中の重役となってくれたのです。
例えば、トラック野郎シリーズ第6弾「男一匹桃次郎」におけるマドンナ役の雅子(故・夏目雅子氏)の婚約者としての出演者・村瀬薫(清水健太郎氏)等など、作品によっては桃次郎がマドンナとその婚約者との間を結び付ける役割も果たしてきたのです。
「御意見無用」の本題に戻しますが、その婚約者も元々トラック野郎で、居眠り運転で死亡事故を引き起こし、遺族から数千万もの賠償請求を背負っていました。
その支払いに疲れ果てた明が、下北港から遠洋漁船で旅立とうとしていました。
残された時間は後4時間、この間に盛岡から下北港まで洋子を送り届けなければなりません。
絶望する洋子を説得し、桃次郎は一番星号を一気に加速させ、警官隊の追跡そして封鎖された道路を次々と強行突破!!
極めつけは、山中の脇道に入り、障害物にぶつかって行灯が割れ、ぬかるみにはまって荷台が泥まみれと満身創痍になって道なき道を突進しました!!
こうして桃次郎は無事洋子を2時間半で明の待つ下北港まで送り届けたのでした。
かくいう爆走シーンのクライマックスもトラック野郎シリーズの定番となってきたのですが、ここで着目したいのは、桃次郎のその場面における心構えです。
トラック野郎シリーズのどの爆走シーンにおいても、桃次郎は失恋等の困難に出くわした上、時間がなく荷物が倍以上などの不利な条件の下での仕事の引き受けでした。
にもかかわらず、相手に対する恨みや怒りにとらわれず、いかに不可能だと言われても、ただただ相手のために犠牲的な姿勢を一切惜しむことなく、時間通りに事を成し遂げて来ました。
たとえ何があろうと、頼まれた仕事は時間通りに必ず成し遂げるという、そんな桃次郎の生き様を描写する態勢が、このトラック野郎シリーズ第一弾「御意見無用」にて固められたのです。
「トラック野郎・御意見無用」で、出演者達が何を教えたかったか
今回紹介してきた、トラック野郎シリーズ第一弾「御意見無用」とは、あくまでただ単なる大衆娯楽としてだけではなく、歴史に残る教本として見習っていくという姿勢こそが欠かせないとの視点に立って見ていきたいものです。
まず一つ、なぜ「御意見無用」なる合言葉を掲げていこうとしたのか。
そしてこれは何に対する「御意見無用」なのか。
少し日頃の視点を切り替えて現実を眺めてみると、何となくその答えが見えてくるのではないでしょうか。
その問いに対して、私なりにも今更ながら気付いた回答をさせてもらいたく思います。
「御意見無用」の姿勢とは、即ち現実の他人目線に対してのものであるというのがまず1つ。
何かにつけて、我々が事を実現に向かって進んでいるその道中においては、揚げ足を取ったり妬みやっかみを言ったりする者たちが、どこかに出てくるものです。
時には人がつまずくのを今かと待ち構えたり、あら捜しに躍起になったりして、何やかんや言いがかりみたいなものを暇つぶしにしている輩も、残念ながら存在します。
しかし、そんな他人目線を気に掛けていてもキリがないものです。
したがって、この「御意見無用」とは、ちょうど何かにつまづいたり戸惑ったりしたときなんかに思い出してみるものだと、私は考えております。
このことで自分自身が現状に縛られずに殻を一つ一つ打ち破っていくものだと心得ているからです。
そしてさらにこの「御意見無用」とは、自分自身の目標実現のための揺ぎ無き志でもあります。
言い換えれば、目的地に辿り着いた、未来の視点から現在の自分自身を見直してみた姿勢であると言っても的外れではないはずです。
以上のような私なりの心構えというものが、桃次郎を始めとした、「トラック野郎・御意見無用」の出演者たちから導き出されたのだという事を、常に忘れず突き進んでいきたいものです。
「トラック野郎・御意見無用」のご視聴はこちらから👇
名作ぞろいのU-NEXTなら、31日間お試し期間付きで、ポイントも有効活用できます!!
この期間内なら解約料金は一切不要です。
月額利用料金は、2,189円(税込)です♪